保護具着用管理責任者については、下記の表のように平成17年の『防塵マスクの選択、使用等について』の通達にさかのぼります。
保護用着用管理責任者について定める通達
対象保護具 | 指導の根拠 | |
1 | 化学防護手袋 | 平成29年1月12日基発0112第6号 「化学防護手袋の選択、 使用等について」 |
2 | 防毒マスク | 平成17年2月7日 基発第0207007号 「防毒マスクの選択、 使用等について」 |
3 | 防じんマスク | 平成17年2月7日 基発第0207006号 「防じんマスクの選択、 使用等について」 |
このように、3件の通達の元に保護具着用管理責任者を定めることが要請されていましたが、実施されていたとは言えません。
しかしながら、今回は罰則規定付となり保護具着用管理責任者の選任が各現場で必須となります。
では、今までの通達ではどのようなことが求められていたのかを各通達から見ていきます。
防じんマスクの選択、使用等について
粉じんについての規制よりこの通達が出されており、次のような留意点が挙げられています。
- 全体的な留意点
1.保護具着用管理責任者について衛生管理者、作業主任者等の衛生に関して知識のある者から指名すること
2.取扱説明書、ガイドブック、パンフレットに基づき教育を行うこと
- 選択に当たっての留意事項
1.型式検定合格品であることを確認すること
2.粉じんの種類及び作業内容に応じた性能を有するものとすること
3.防塵マスクの顔面への密着性の確認
- 使用に当たっての留意点
- 保守管理上の留意点
防毒マスクの選択、使用について
新規格に基づく防毒マスクの選択、使用等の留意事項について定めたので、了知の上、今後の防毒マスクの選択、使用等の適正化を図るための指導等を行うこととあり、規格の改正に伴う通達でした。
化学防護手袋の選択、使用について
特定化学物質障害予防規則及び労働安全衛生規則の一部改正により、経皮吸収対策に関わる規制強化に伴う通達でした。
このように、厚生労働省では保護具の使用に当たって、保護具着用管理責任者の選任を指示していたのですが、多くの企業では選任が進んできませんでした。今回の化学物質についての法改正において化学物質管理が規制から事業者の自主管理へ改正され、事業者として管理において化学物質管理責任者の選任、保護具着用管理責任者の選任について罰則規定の付いた法改正となりました。
今後、建設現場では事業者は化学物質管理責任者を選任するとともに、各現場に保護具着用管理責任者の選任が必要になります。建設安全TOPICSでは、保護具着用管理責任者の教育内容に沿った内容を取り上げていきます。
保護用着用管理責任者教育カリキュラム
学科科目 | 範囲 | 時間 |
Ⅰ 保護具着用管理 | 1.保護具着用管理責任者の役割と職務 2.保護具に関する教育の方法 |
0.5時間 |
Ⅱ 保護具に関する知識 | 1.保護具の適正な選択に関すること。 2.労働者の保護具の適正な使用に関すること。 3.保護具の保守管理に関すること。 |
3時間 |
Ⅲ 労働災害の防止に関する知識 | 保護具使用に当たって留意すべき労働災害の事例及び防止方法 | 1時間 |
Ⅳ 関係法令 | 安衛法、安衛令及び安衛則中の関係条項 | 0.5時間 |
実技科目 | 範囲 | 時間 |
Ⅴ 保護具の使用方法等 | 1.保護具の適正な選択に関すること。 2.労働者の保護具の適正な使用に関すること。 3.保護具の保守管理に関すること。 |
1時間 |
計 6時間 |