吸収缶とは
吸収缶は、面体と並んで防毒マスクの重要な部品であり、吸い込んだ空気の中に含まれている有毒ガスを吸収ろ過してくれるものです。部品(容器)の形状が丸い缶詰のようであることが多く、吸収缶と呼ばれます。
吸収缶の中には、薬剤が詰められており、吸い込んだガス成分と反応して有毒ガスを無害化します。吸収させるガスによって薬品は異なります。
つまり、防毒マスクに使われる吸収缶は、1つであらゆる種類のガスを吸収できるわけではありません。ガスの種類ごとにそれぞれ吸収缶が必要になります。
吸収缶の種類と使い分け
作業場で発生する有毒ガスは作業で使用する材料によって様々です。
塗装作業ではシンナーをはじめ有機溶剤が使用されています。塗料を吹き付ける際にはこの有機溶剤が有毒ガスとして発生します。そのため、有機溶剤用の吸収缶を使用します。
吸収缶には、有機ガス用(クロロピクリン、シクロヘキサン、トルエン)の他、ハロゲンガス用(塩素、臭素、フッ素、他)や酸性ガス(塩化水素、硝酸、二酸化窒素、フッ化水素、他)、さらにアンモニア用、亜硫酸ガス用、一酸化炭素用といった単独のガス用もあります。
このように、数十種類のガスに対して吸収缶が用意されており、作業環境で発生するガスに応じて選定します。
吸収缶の色はガスの種類で異なり見える化が行われています。
国家検定品である5種類のガスに使われる吸収缶では、次のように色が定められています。
【吸収缶の外部の側面の色分けについて】
種類 | 色 |
ハロゲンガス用防毒マスク用の吸収缶 | 灰色及び黒色(二層に分けること) |
有機ガス用防毒マスク用の吸収缶 | 黒色 |
一酸化炭素用防毒マスク用の吸収缶 | 赤色 |
アンモニア用防毒マスク用の吸収缶 | 緑色 |
亜硫酸ガス用防毒マスク用の吸収缶 | 黄赤色 |
備考 防じん機能を有する防毒マスクにあっては、吸収缶のろ過材がある部分に白線を入れる。 | |
※厚生労働省 防毒マスクの規格(平成02年09月26日労働省告示第68号)より抜粋 |
吸収缶の対応ガスの濃度
吸収缶は、対応できるガスの濃度により三種類に分類されています。
- 直結式小型は、ガスの濃度の上限は0.1%
- 直結式は、小型の10倍にあたる1%が上限
- 隔離式は、吸収缶が大きいため直結式の2倍に当たる2%が上限
しかし、ガスの種類により上限値が変わるため、メーカーへの確認は必須事項です。